星子 桜文
株式会社 スター・フローレス　代表取締役社長

2016年6月『(株)スター・フローレス』を設立。環境問題に取り組む製品の販売・普及、企業のコンサルティングを行う。東京都大田区『エム・テックス(株)』がナノ技術を駆使して独自開発した“マジックファイバー”を主力製品として、さまざまな分野での活用を広げている。『自然と未来(株)』会長。

ナノ技術で産業の変革
地球環境問題に取り組む

　「近年の気候変動による自然災害、それによる社会的損失など、もはや環境問題の弊害は私たちの身近に迫り全世界中の人々の暮らしを脅かすほど急激に深刻化しています。大きな要因は、私たち一人ひとりが資源の“命”を軽視してきたからではないでしょうか。地球は無数の命の連なりです。この命を今一度見つめ直し、地球の未来のために何かしら行動を起こすときではないでしょうか」と星子さんは昨今の環境問題について警鐘を鳴らします。
　星子さんが新たに立ち上げた『スター・フローレス』は、持続可能な社会の構築に向けて国境や人種を超えて地球規模で価値ある取り組みを企業や個人に向けてコンサルティングを行う企業。その活動の主力製品となるのが『エム・テックス』がナノ技術を駆使して開発した “マジックファイバー”です。マジックファイバーとは髪の毛500分の1程度の細さ、つまり「超極細繊維」で、超撥水性、断熱特性、吸音特性、抗菌性、油吸着性(水は弾き、油だけ吸収)、フィルター性能など、優れた性能を持ち合わせた活気的な製品。世界中からあらゆる分野での活用が期待されています。例えば、油等で汚染された海や川、生活や工業用の排水の浄化に、住宅の断熱材や車の吸音材として、あるいは砂漠化した土地での植物の栽培などその可能性は無限大です。星子さんはこの製品こそ地球に付加をかけない産業改革の一握を担うと考え、普及拡大のために販売代理店業務を始めたのです。

世界中の汚染された海や川を“マジックファイバー”が救う

　2020年の8月14日、インド洋の島国モーリシャス沖で座礁した貨物船から流失した千トン級の重油が、コバルトの海を真っ黒に染める衝撃映像。全世界を駆け巡ったそのニュース映像は貨物船は日本が所有するものと伝え、多くの日本人が胸を傷めたのではないのでしょうか。モーリシャスは特有の植物や動物が密集する生物多様性のスポット。魚や海洋哺乳類、絶滅危惧種の海ガメ、サンゴや海藻、マングローブなども生息する豊かな海です。
　「あの事故を知って一刻も早く油を取り除いて、魚や海ガメ、鳥、そしてその地域で暮らす人たちを助けたい、そんな想いでいっぱいになりました。それにはマジックファイバーしかない！と居ても立ってもいられなくなったんです」。
　星子さんは直ぐに、エム・テックス社とともに国の関連機関や政治家たちに油の除去にマジックファイバーの使用を働きかけました。そして油1トン吸着できるマジックファイバーを無償提供。日本の優れた技術が多くの命を救ったのです。
　「世の中には油吸着材はたくさんありますが、マジックファイバーの優れたところは水を吸わずに油だけ吸うというところ。世界中の汚染された海や川はもちろん、工場や生活排水の浄化、あるいは空気清浄などマジックファイバーは環境問題を解決する大きな糸口になると考えています」。
　まだ記憶に新しい2019年に九州北部を襲った豪雨で佐賀県の鉄工場から流失した油の吸着にも貢献したそうです。
　「日本が誇れる“世界最先端のナノ技術”を駆使することで、地球が抱える環境問題や人類が抱える様々な課題を解決して、持続可能な社会共感市場の構築を通して未来に貢献する、そんな想いでスター・フローレスを育てていきたいと思っています」
　日本にとどまらず国境を超えた星子さんの活躍にこれからも大いに期待して応援していきたいと思います。