ネイチャー生活倶楽部

容器も包装も身の回りにはプラスチックだらけ。しかもほとんどが使い捨て!地球全体に大迷惑をかけているなんて!

日本は世界3位のプラスチック生産国です。
「リサイクルされるから安心」と思っていませんか?実は違うんです。

世界のプラスチック生産量は過去50年で20倍に増加。
その多くが使い捨て容器です。日本も世界第3位のプラスチック生産国です。

レジ袋、ペットボトル、使い捨て容器、商品のパッケージ… あらゆるものにプラスチックが使われるようになり、生産量は世界中で右肩上がりで増え続けています。中でも多いのが容器包装で、全体の36%を占めると言われています。UNEP報告書「シングルユースプラスチック2018」。日本はプラスチック生産量は世界3位。1人当たりの容器包装プラスチックごみの発生量は、世界2位です。

「プラスチックごみはリサイクルされるから安心」― そう思っていませんか? 実は日本のプラスチックごみの67.6%は、焼却処分されています。熱エネルギーは利用されますが、同時に大量のCO2を排出しています。

自治体の決まりを守って分別したプラスチックゴミ。日本のリサイクル率は87%(2022年度)と高く、有効利用されている―と思っていたら、原料として再生されるのはわずか1割、8割近くのプラスチックゴミは焼却・埋め立てされていました。焼却時に出た熱エネルギーは有効利用されていますが、発生したCO2は確実に温暖化を進めています。

焼却するためには高性能の焼却炉の建設、維持に数百億円という莫大な費用もかかっています。とにかく、プラスチックを増やさない社会にしなければいけません。

プラスチックごみは焼却時のCO2やマイクロプラスチックの問題もあります。
そのためバイオマス素材が増えてきていますが、実は普及率はわずか1%です。

プラスチックゴミは燃やすと当然CO2が出ます。また海洋に流出したプラスチックゴミは、マイクロプラスチックとなる問題も。そのため「バイオ素材」が増えてきていますが、普及率はわずか1%。含有率もまだまだ低い状態です。

プラスチック問題解決のために開発・普及が進むバイオプラスチック

CO2の排出抑制や、海洋プラスチックゴミ削減のために、バイオ素材のプラスチックの開発・普及が進んでいます。
一般的なプラスチックの原料である石油等に替わり、植物など再生可能な原料を使うことで、焼却時のCO2を抑制したり、微生物により最終的に水とCO2に分解されるプラスチックは、環境中に流出した場合に、長時間残留するのを防ぐことができます。

環境意識の高まりにより、包装パッケージなどにバイオプラスチックが使われるようになっています。
2020年7月からのレジ袋有料化も契機となりました。

2020年7月より、全国の小売店にレジ袋の有料化が義務付けられるようになったことがきっかけで、石油由来のレジ袋の代替としてバイオマスプラスチックのレジ袋が普及するようになりました。
バイオマスプラスチックが25%以上配合されたレジ袋など、環境に配慮したレジ袋であれば、無料配布が認められています。

無料配布が認められたレジ袋3種類
1.植物由来の「バイオマス素材」を25%以上配合しているレジ袋。
2.海の微生物によって分解される生分解性プラスチック配合率100%のレジ袋。
3.繰り返し使用可能なプラスチックフィルムの厚みが50ミクロン以上のレジ袋。

日本政府は2030年までにバイオマスプラスチックの国内出荷量を最大200万トン目指していますが、現時点でわずか5万トン。全プラスチックに占める普及率はわずか1%です。

バイオ素材のプラスチックは、石油由来のプラスチックと比べて製造技術がまだ確立しておらず、製造設備の整備も進んでいない等の理由からコストが2倍以上高価格となるため、依然として石油由来のプラスチックがほとんどであるのが現状です。そもそもプラスチックじたいの生産量が右肩上がりに増え続けている現状を、そもそも変えて行かなければいけません。

ゴミは焼却すると焼却灰が残ります。プラスチックも同じです。
最終的処分場の残余年数は、全国平均で20年です。

プラスチックなどのごみを焼却すると、最後には焼却灰が残ります。なんと埋め立てゴミの80%は焼却灰でした。

燃えるごみやプラスチックごみは、焼却場で燃やされ年間約430トンの灰が発生しています。そしてその大半が埋め立てられていました。
埋ね立てごみの多くは、家庭などから出る不燃物かと思っていたら、80%が焼却灰と分かってびっくり!「燃やせば処理は終わり」ではありませんでした。
焼却灰を減らすため、体積を半分ほどに抑える高温処理や灰をセメントの原料として利用する技術も進められていますが、ごみを減らす一人一人の取組が何より大事です。

ごみの最終処分場はあと21年で満杯に!
最終処分場を増やすのは困難―とにかくごみの量を減らすしかありません。

焼却灰などこれ以上再利用、再資源化できないものが埋め立てられる最終処分場。
日本国内にある最終処分場が満杯になるまでの残り期間は、令和3年環境省の発表によると残り平均21.4年。「だったら最終処分場を増やせばいい」という単純な話ではありません。国土の狭い日本においては広い土地の確保が難しく、また近隣住民や漁業者などの理解を得ることも困難なため、新設は難しいのが現状です。
やはり、ごみを減らす努力をするしかありません。

プラスチックは川や海に流出し、海洋生態系に大きな影響を与えています。魚・ウミガメ・海鳥… さらには人体からもマイクロプラスチックが検出されています。

プラスチックは年間800万トンも川や海に流出しています。
それが細かいマイクロプラスチックとなり、海洋生物や鳥に蓄積。
さらにはそれらを食する人間にも蓄積されていました。

日本の“使い捨てプラ”使用量は世界2位!! 近海の生態系にも影響が出ています。

前回ご報告したように、アレルギーや肌荒れの原因になると思われる、有害化学物質を吸着したマイクロプラスチックは、2050年には海中の魚の量を超えるほど―全海洋には5兆個のプラスチックが浮遊しており、海洋汚染はとても深刻です。餌と間違えて食べ、毎年100万羽の海鳥、10万匹の海棲(かいせい)哺乳類、ウミガメ、無数の魚が死んでいる―200種以上の生き物たちに被害を及ぼしています。

日本近海の魚や貝などからもマイクロプラスチックが見つかっています。これは、私たちが使ったプラスチックが海洋に流出していること、さらに東南アジアなどから黒潮で流れてくることで、海洋がマイクロプラスチックでいっぱいになっていることが原因―もう人ごとではありません。

既に私たちは毎週クレジットカード1枚分のマイクロプラスチックを食べている、と言われています。大気中からも検出されています。

東京農工大学 物質循環環境科学部門
高田 秀重 先生
高田 秀重 先生
最新の調査で、人の身体の血液中からナノプラスチックが検出されました。さらに、プラスチック製品に含まれる紫外線吸収剤やポリ塩化ビフェニールなどの有害物質も検出されています。