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プロフィール

ドイツ農家の生き様にふれ、再生可能エネルギーに挑戦

 ERI(大津愛梨)さんの再生可能エネルギーへの挑戦は、ドイツ留学がきっかけでした。父親の仕事の関係でドイツで生まれ、生後8ヵ月からは東京で育ち、慶応大学環境情報学部で景観計画を研究。卒業後、夫の耕太さんと共にドイツのミュンヘン工科大学大学院に留学しました。当時、ドイツでは四半世紀前のチェルノブイリ原発事故を機に、農家は広い牛舎の屋根に太陽光パネルを設置したり、家畜の糞尿を利用したバイオマス発電を行ったり、当たり前に再生可能エネルギーを自給していたそうです。
 大学院卒業後の2003年、耕太さんの叔父が農業をしていた熊本県の南阿蘇村に移住して就農。「農家をするならドイツで目の当たりにした、食べ物とエネルギーを生産し風景を守る農業を目指そうと、むしろ私の方が移住と就農に積極的だったんですよ(笑)」。
 5ヘクタールの水田で合鴨や鯉などを使った無農薬米の栽培を中心に野菜やあか牛を育てながら、さっそく再生可能エネルギーの普及・啓発活動に取り組みます。天ぷら油を集めて軽油の代用油を作ったり、ドイツから講師を招いて勉強会を開いたりする内、いつのまにか人が集まり、同年冬にはNPO法人バイオマスフォーラムを設立。
 2005年からは国の実証実験事業として、阿蘇市と共同で全国初の「草発電」に取り組みました。

阿蘇の世界農業遺産登録に奔走 地域資源によるバイオマス発電の実現が目前に

 ERIさんは阿蘇を世界農業遺産登録に導いた立役者の1人。大学時代も農村風景の勉強をしていたERIさんは、阿蘇の世界農業遺産認定に向け、阿蘇の農家代表としてイタリア・ローマでの国際食糧機関の会議や石川県で開催された世界農業遺産国際会議に出席。和服に身を包み、流ちょうな英語で阿蘇の魅力をアピールしました。
 「実は会議の時期が農繁期に重なっていたので、当初はプレゼンの準備などはできても会議への出席は無理とお断りしていたのですが、熊本県庁職員の方が有休を使って農作業の手伝いに来てくれたんですよ」。2013年5月、阿蘇は国連食糧農業機関が認定する世界農業遺産に登録されました。
 再生可能エネルギー事業に大きな転機が訪れたのは、東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所の事故。地域でも再生可能エネルギーへの関心が高まりました。「3年間、試行錯誤を重ねた末、生ゴミや家畜の糞尿、農業残渣などを利用したバイオマス発電の実現化のめどがつきました」。そこで、農家がエネルギー事業に参入するための「里山エナジー」を設立。農家が食べ物もエネルギーも生産できるよう、再生可能エネルギーに関する調査・発電施設の設置、事業化まで手掛けると言います。さらに2014年には女性農家によるNPO法人「田舎のヒロインズ」の理事長に就任。

 育児に農業に再生エネルギー事業に大忙しのERIさん。しかも4人目を出産され、「主人も目指すところは一緒。家族と目標を共有していることは何より心強いですね。できるかできないかでは迷いません。やるかやらないかの違いだと思っています」と快活な笑顔で話してくれました。