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濱砂 圭子 株式会社フラウ 代表取締役社長
「フラウ」が創りあげてきた商品
子育てには不便なことだらけ…これからのお母さんたちのために情報誌を作ろう!

 長男を出産後1カ月くらいに、保健師さんが自宅に来てくれた時の事。子どもに脂漏性湿疹が出ていて、「これって何ですか?アトピーですか?」と尋ねたんです。それまで相談できる人が近くにいなくて…。「どこかいい小児科を教えてください」といろいろ聞いたのですが、行政の立場から特定のところは教えられないと言うのです。そして、街に出れば段差や階段だらけ。ベビーカーを押しながらの移動は苦労の連続。さらに、とあるデパートでは、オムツ替えができる上層階でおむつを換えておっぱいをあげて、次は銀行へと降りると今度はウンチの臭い。また上層階まで戻って…、そういうことの繰り返しでした。

 これからのお母さんたちに同じ苦労をさせたくない、役に立つ情報を教えてあげたい、街を変えていきたい、そんな思いで『子づれDE CHA・CHA・CHA!』を創刊しました。
 創刊号の特集は「トイレマップ」。一番大変なのはトイレです。ベビーベッドが付いているか、ベビーカーと一緒に入れる広さか、清潔さなど、公共施設やショッピングエリアをベビーカーを押してエレベーターで移動しながら調べました。
 反響は大きくたくさんの声が寄せられました。「駅でエレベーターにベビーカーを乗せてくださいとお願いしたら、『物は乗せられない』と駅員さんから断られた」という投稿。またデパートに調査に行くと担当者は男性。「女子トイレは見た事ありません」、「入口にベビーベッド置いているでしょう」と言います。ところが柵が壊れていたり、釘が出ていたり、不潔だったり…危険なものだらけでした。

 それから私は、福岡県の「バリアフリー街づくり」の委員になりました。タイトルに「高齢者や障害者などのバリアフリー化を図る委員会」と書いてあるではないですか。私は「“など”ではなく、子育て中の母親、妊娠中の女性と明記してください」と訴えました。まだ子ども手当もなければ小児医療費の免除などもない時代に“第3の弱者”として認めて欲しいと、世の中の不条理と戦ってきました。あちこちで「あの濱砂さん」とか「あのトイレで騒いでる女」とか言われたものです(笑)。でも言い続けてきたからこそ変わりました。ハートビル法や子育て応援宣言などもすべて後からできたものです。

子育ての情報がないなら、情報誌を創ろう!これから産み育てる女性を助けるために。

 これまで、どうやって子育てしていたのだろうと先輩の女性に話を聞くと「私たちは我慢しとったけん、あんたたちも我慢せなんたい」と、我慢の申し送り…。そうではなく、次に経験する人が、同じ苦労をしなくていいように、役に立つ情報を教えてあげたい、街を変えていきたい、と思って「子どもと家族を応援する情報誌『子づれDE CHA・CHA・CHA!』」を創りました。
 創刊するにあたって、以前の仕事関係の男性の方たちに相談したら、「そんなターゲットの狭い本が売れるもんか、そんなことは女のわがまま」と言われました。私は裏付けを取ろうと、325人の子育て中の女性にアンケート調査をしたところ、325人の半分が不便と回答。女のわがままではないということを立証しました。「不便に思っていない」と答えた人でも「郡部に比べると便利」という程度で、つまりは満足していないのです。中でも「よく行くトイレはどこですか?」という質問に「行かない、がまんする」という人が16人もいたのには驚きました。「前の日から水ものをとらない」「2時間以内に家に走って帰る」と。いろんな犠牲の上で「不便に思わない」ようにしているのが実態です。車いすの人にも話を聞くと、階段を降りるときは「端っこまでいって『お願いしま〜す、お願いしま〜す』と通りかかる人に声を掛けて、4、5人集まってもらって、抱えておろしてもらう…」との返答。「アジアに向けた国際拠点という福岡が、何て状態なの!」と恥ずかしさと怒りでいっぱいになりました。
 『子づれDE CHA・CHA・CHA!』の最初の特集は「トイレマップ」。知りたい情報の数ある中で、一番大変なのは、やっぱりトイレです。トイレの中にベビーベッドが付いているか、ベビーカーと一緒に入れる広さ、清潔さなど、公共施設やショッピングエリアを1軒1軒、各階を1階1階ベビーカーを押してエレベーターで移動しながら回って調べました。

 赤ちゃんから6歳児までの子育てを対象とした『子づれDE CHA・CHA・CHA!』に続き、幼稚園や保育園に配るフリーペーパー「けん・けん・ぱ!」を発行。スポーツや文化活動に頑張る小学生を応援する「小学生新聞」。中高生向けの「キャリア教育」では仕事現場を見せて一冊の職業ガイドブックを作り上げるプロジェクトを企画。大学生には、コミュニケーション授業の内容をまとめたDVDを製作。就職活動にも役立つと好評でした。
 次なるテーマが“介護”を考える「3世代コミュニケーションマガジン」。母の認知症をきっかけに“認知症”のことを漫画で表現したらこれも大反響でした。他に、全国のママたちの活動グループをネットワークでつなぐ「マミーズサミット・ネットワーク」を1995年から17年続けています。全て事業の軸は生活現場主義。幹は子育てと女性の生き方でその延長線上にNPOやコミュニティビジネス、ワーキングマザーなどがあります。すべて、女性が結婚や子育てで立ち止まらなくていい社会を作ることがテーマです。これからは「マミーズサミット・ネットワーク」を「マミサミジャパン」として法人組織化し、全国的な子育て支援のネットワークを創ることを目指しています。

 フラウでワーキングマザークラブをしっかり機能させて、女性の意見を職場環境改善や商品開発などに生かしたいと思っています。我が社は子育て中の人が多いので、さまざまな問題は社内で解決できます。でもほかの会社では、一人だけ育休を取って“針のむしろ”の人も少なくはないはずです。ワーキングマザーの当事者じゃないと分からないことを解決できる会社でありたいと思います。