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30年前から子ども達の健康に変化が… 原因を調べていく中で知った水の問題。

 私は学校薬剤師として子どもたちの健康管理や指導に長年取り組んでいました。そんな中で30年ほど前から子どもたちの変化が。アトピーやアレルギーなどそれまで見られなかった症状の子どもが増えてきたのです。当時は高度成長期で、子どもたちの食べ物や生活全般が大きく変化した時。原因を探っている中で、毎日飲んでいる水さえも変わってきていることが分かったのです。
 そもそも自然の中で循環する水は自然の力で濾過されています。その過程において、大量に使うようになった化学肥料や農薬、ゴルフ場にまかれた除草剤などが土にしみこみ川や海に流れ込んでしまうのです。全国に広まった家庭用の合成洗剤も原因の一つです。そういう有害物質は川や地下水、海を通して魚や野菜、水道水にも影響を与えます。もちろん水だけでなく食べ物もインスタント食品やハウス野菜、出来合いのお惣菜などで育つ子供も増えたことも要因の一つ。それらの複合的な原因が、子どもたちの体質に影響を与えていたのです。

巨大ダムの撤去という貴重な経験を多くの人に― 全世界が豊かな自然を取り戻すために動こう。

 水の問題を調べる中でダムの影響が大きいことがわかってきました。昭和30年、球磨川に荒瀬ダムが建設され、その後、瀬戸内ダム、一房ダムと次々にダムや堰がつくられました。当時は電気の供給と自然災害を防ぐことを目的とし人の生活を豊かにすると信じて建設されたダム。しかし実際は、ダムの振動被害や今までにない洪水被害にあう人たちが増えていたのです。
 数十年前まではここ八代の球磨川や河口は「石を投げればアユに当たる」「船を出せばアユが飛び込んでくる」「川を歩けばウナギを踏む」と言うほど豊かでした。八代の河口の干潟にはアサリやハマグリ、カニやヒラメ、車エビなどザクザクと獲れていました。しかしダム建設後はその豊かな光景は失われたのです。
 川は人間の大動脈と同じ役目を自然の中で果たし、支流は小さな血管と一緒。その先に広がる森や田んぼは私たちの身体の細胞となる源です。だから、大動脈をせき止めれば体のあちこちが悪くなるのは当然で自殺行為なのです。
 そんなダム被害に悩まされた住民たちの願いが届き、ようやく2012年ダム撤去が始まりました。こんな大きなダムを取り壊すのは世界でも珍しい事例。取り壊しが進むほどに、明らかに河口の状態が変わり生き物が増えてきました。
 荒瀬ダムが撤去されて、海や川はどう変わったのか話してほしいと全国から依頼があります。毎日「荒瀬ダム」の様子を、SNSで発信すると世界中から反響が帰ってきます。それだけダム問題は全世界で関心が高いのだと思います。少しでも豊かな自然を取り戻すために、できることをやり続けたいと思います。